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特集2. アメリカでも“ワクワク”を届けるために
ガシャポン®で広げる豊かな暮らしと体験価値

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ハピネットグループは、カプセルトイを通じて“ワクワク”という体験価値を世界へ届けるため、海外子会社「Happinet America Inc.」を設立し、アメリカ・テキサス州で株式会社バンダイ(以下バンダイ)のオリジナルカプセルトイブランド「GASHAPON®」の専門店「GASHAPON BANDAI Official Shop US Grapevine Mills」の店舗運営を開始しました。現地の消費者に寄り添った店舗運営を通じて、「商品・サービスを通じた幸福で豊かな暮らしへの貢献」というマテリアリティの実現を、国境を越えて推進していきます。

  • ※「ガシャポン®」は株式会社バンダイの登録商標です。

“from”ハピネットで、世界にワクワクを

近年、日本国内では大型カプセルトイ専門店の増加により、カプセルトイは身近なエンタテインメントとして広く親しまれるようになっています。訪日外国人を含めた認知度の向上もあり、2024年の国内カプセルトイ市場は1,200億円(前年比150%、バンダイ調べ) と大きく成長しています。

ハピネットグループは、全国に約38万面のカプセルトイ販売機を設置・運営し、2019年に展開を開始したカプセルトイ専門店「gashacoco(ガシャココ)」は、2025年3月末時点で全国に137店舗(直営店114店舗、FC23店舗)に達しています。ハピネットグループのカプセルトイ市場での流通シェアは約60%(当社調べ)を占めるなど、国内における主要なプレイヤーとして成長を続けています。

こうした実績を背景に、ハピネットグループは新たな成長の柱として海外市場への進出を視野に入れ、長期ビジョンとして「エンタテインメントの可能性を追求し、“from”ハピネットで世界をワクワクさせるクリエイティブカンパニー」を掲げました。これに基づき、第9次中期経営計画では「海外展開への挑戦」を基本戦略の一つとし、継続的に市場調査と事業性の検討を進めてきました。

特に注目したのがアメリカ市場、とりわけテキサス州です。同州は人口約3,000万人を擁し、アメリカ第2位の経済規模を誇る一方で、カプセルトイ専門店の出店数が限られており、将来的な成長が期待される市場と判断しました。

当社グループは、海外事業の柱を打ち立てる第一歩として、海外子会社Happinet America Inc.をアメリカ・テキサス州に設立するとともに、バンダイのオリジナルカプセルトイブランド「GASHAPON®」の専門店「GASHAPON BANDAI Official Shop US Grapevine Mills」を、テキサス州にある大型ショッピングモール「Grapevine Mills」内にオープンしました。店舗面積は104㎡、設置面数は305面に及ぶなど、テキサス州最大級の規模を誇ります。お客様にたくさんの商品を広い店舗でゆっくりと見て、購入していただける店舗を目指しました。2024年10月のオープン以降、グレープバインやダラス、フォートワース都市圏の地元の人々や、ショッピングを目的とした観光客が訪れ、「ハンドルを回す体験と共に商品が出る時のドキドキ感、ワクワク感」を楽しんでいただいています。

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『GASHAPON BANDAI Official Shop US Grapevine Mills』外観

日本の運営ノウハウを活かした顧客体験づくり

「GASHAPON BANDAI Official Shop」は、日本国内市場でシェアNo.1を誇るバンダイのオリジナルカプセルトイブランド「ガシャポン®」を100%取り扱う専門店であり、ハピネットグループは自販機設置や商品供給を担い、展開拡大を支援しています。

「GASHAPON BANDAI Official Shop US Grapevine Mills」では、日本で培った店舗運営のノウハウを活かし、季節ごとの装飾や店内音楽、視認性の高い陳列、定期的な展示品交換、質の高い接客といった工夫を重ね、初来店のお客様からリピーターまで、誰もが楽しめる空間づくりに注力しています。

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店内に並ぶ自販機の上にはディスプレイも

また、アメリカでは低額硬貨が一般的でないため、トークン販売機を導入し、紙幣からトークンへの交換を可能とすることで、日本のような運用を実現。クレジットカード対応によりキャッシュレスにも対応し、利便性を高めています。価格は日本国内より高くなりますが、現地では抵抗なく購入されている様子が見受けられます。

集客面では、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを活用し、現地の文化や嗜好に合った情報発信を展開。現地スタッフとの連携により、商品情報やイベント告知を通じて、リアルとデジタルを融合したマーケティング施策を推進しています。

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広い店舗でゆっくりと見て購入していただける店舗づくり

エンタテインメントの力で、夢のある明日を

カプセルトイの魅力は、商品そのものの価値に加え、「何が出るかわからない」という偶発性、そこから生まれる出会いや他者との共有体験にあります。こうした体験価値は、日常に彩りを添え、人々の心に豊かさをもたらします。

アメリカではまだ、カプセルトイが日常的に親しまれているとは言えません。認知度や浸透度には地域差があり、展開エリアも限られています。こうした中で、まずは出店を増やすことでお客様との接点を拡大し、より多くの方にカプセルトイの魅力を体験していただくことが重要であると考えています。

「商品が出るときのドキドキ感」「お気に入りのキャラクターとの偶然の出合い」「商品を通した家族や友人とのコミュニケーション」など、カプセルトイならではの体験価値を通じて、玩具としての認知度や価値をさらに高め、アメリカの人々にとってもっと身近で必要な存在となることを目指しています。

今後は、テキサス州内におけるさらなる出店を計画しており、子どもから大人まで、家族全員が楽しめる多様な商品を通じて、地域に根ざした“ワクワク”の提供を継続していきます。

カプセルトイはアメリカの人たちにはまだ身近なものではありませんが、日本に興味を持つ方を中心に認知度が上がっていると感じています。カプセルトイならではの、「商品が出る時のドキドキ感、ワクワク感」、「さまざまな商品を通してコミュニケーションを促進する」ことを通し、カプセルトイや玩具の認知度、価値をより高め、アメリカにおいてもっと身近で必要な存在にしていきます。

担当者の声

(株)ハピネット 経営戦略室 海外戦略チーム 阿久津 昇栄

誰かの笑顔につながる店舗を、ゼロからつくる

私の主な業務は、アメリカにおけるカプセルトイ専門店の出店開発です。テキサス州内の商業施設を実際に訪問し、出店候補地を検討したうえで、施設との交渉や契約を行います。出店が決まった後は、店舗の内装施工に関して設計業者と調整を進め、現地での施工状況を確認しながら、開業に至るまでのすべての工程に携わっています。

現地での出店交渉や施工に関しては、日本とは異なる商習慣や建築ルールに戸惑う場面も少なくありませんでした。聞き慣れない専門用語が多く、会話の中で一つひとつ確認を重ねて理解する必要があったことも印象に残っています。また、店舗オープン直前になっても市の検査が通らず、スケジュール調整に追われることもありました。それでも、現地メンバーや日本側のチームと連携を取りながら、都度課題を整理し、協力して一つひとつ乗り越えることができました。

Happinet America Inc. の設立は、文化や商慣習の違い、制度やシステムの未整備といった課題が山積する中、ゼロからすべてを整備することは容易ではありませんでしたが、この経験は個人としても大きな成長につながったと感じています。

現地とのコミュニケーションにおいても、文化の違いを感じる場面が多々ありました。たとえば、連絡に対するレスポンスが遅い、リマインドをしても反応がないといったことは日常的に起こります。最初は驚きもありましたが、こうした違いを理解することで、相手の価値観を尊重しながら無理のない信頼関係を築くことの重要性を学びました。今では、現地のスタイルを尊重しつつ、円滑な連携ができるよう心がけています。

出店先が決まり、店舗の準備が完了し、オープンの日にお客様が商品を手にして楽しそうにしている様子を見ると、大きなやりがいを感じます。自分が関わった仕事が形となり、誰かの楽しみにつながっているという実感は、何ものにも代えがたいものがあります。

今後はまずアメリカ国内で出店を拡大し、さらに将来的には世界中の人々にワクワクを届けられるよう、さまざまな国での展開にも挑戦していきたいと考えています。Happinet America Inc.は、ハピネットグループの海外展開の第一歩です。私たちのこうした挑戦が、これからのグループの成長と可能性につながっていくことを信じています。今後の展開に、ぜひご期待ください。

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阿久津 昇栄